電卓があるのにどうしてそろばんをやるの?

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そろばん塾ピコ講師の平山です。
数教室を回り、様々な考え・様々なタイプの子を見てきた経験から、一般論でない、役に立つ現場視点の情報を配信していきます。

今回は身近な疑問で“電卓やエクセル(Excel)があるのにそろばんって意味ないんじゃないですか?”(意訳です)
と言う質問に真っ向から反論していきます。
前回の記事で半分以上答えを書いてしまっていますが、また同じようなことを違った側面から熱く論じていきたいと思います^^;

では本題です。

電卓は計算ツール、そろばんは教育ツール

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電卓はとても早く計算が出来るし、頭もフル回転させなくて良いし、本当に便利なものです。おまけに安いし。500円とかで普通に実用的なものが売っています。
しかもメモリー機能(*1)もあるし、少しリッチなのを買えば関数も使えちゃうし、ほんと万能ですよね。
子ども用には“算数電卓”なるものもあったりして、算数の分数や円周率などの概念を持ち込んでいるので、そのまま計算に使えちゃいます。これさえあればそろばんもK文も、もう他のものは何も要らないですよね?だって計算を習得するのにも使えるし…

ってな感じになりますか??

なりませんよね。^^;

電卓には(教育に使うには)圧倒的に大事な事が欠けています。
答えを出すまでの過程、そして、考え方についてはまるっきり欠如してしまうのです。

例えば、1年生(1学期)がいたとします。何とか10の繰り上がりは出来るものの、たまに指が出てきて、それを使い計算をしています。
さて、19+31と言う問題が出ました。電卓の簡単な使い方を知っていれば、これについての答えはすぐに知ることはできます。答えは50だ!とても簡単です。
ですが、同じような問題を反復して練習したところで(電卓なしに)2桁の計算が出来るようになりますか??

はい、そうです。全く出来る様にはならないのです。
何故って…答えを出すまでの過程、そして、考え方については学ぶことが出来ないから。
(2回目)

答えを導き出す方法は何種類かありますが、どの考えについても電卓を使っていては計算を習得できません。更に分数や少数にいけば、より過程や考えが重要になってくるので益々習得できない具合が増していきます。
という事で電卓は既にその概念や過程、考えも習得済で“答えをすぐに知りたい”“過程は関係ない。”人に適した実用的なツールであって、そもそも非効率が前提の教育のツールの位置からは真逆の方向にいるものであり、その様な方法(教えるためのツール)としては全く使えないのです。

ここがそろばんとの大きな差です。
ご理解いただけましたよね?

そろばんと言う教育ツールを使う、使わない

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さて、では19+31と言う足し算を習得する際にも大まかに分けるといくつか方法があります。
一つは筆算ですね。これは学校教育のスタンダードであり、必ず習得すべきものです。
9と1を足して10。あとは1(くりあがったもの)+1+3=5に(1の位の)0で50と言う答えが出てきます。この場合、筆算と言う概念や、やり方は習いますが、補助ツールは使用しておりません。しいて言うなら指や100玉そろばんを使うという方法がありますが、どちらもあまり実用的ではありませんね。

そこでそろばんです。そろばんは計算ツール、そして計算補助ツールとしての機能もあります。
そろばんを使って19+31=50を出す。これは計算ツールとしての機能です。
まず19を入れます。これは問題ありませんね。そして、次に31のうちの30を入れます。そうすると49の状態になります。
次に1を入れますが、そのまま1の位には入りませんので、9を取って10を入れます。
しかし、今度は10の位に10が入りません(1玉の部分に入らない)ので、50を入れて40を取ります。
(つまり結果的に10増やした)

この一連の流れは計算ツールとしてのそろばんです。
始めは習得に時間がかかりますが、慣れてしまえばかなり早く計算することが出来ます。*2

そして、次に計算補助ツールとしての機能。
計算補助ツールと言う言い方は正しくないかもしれません。
誤解を恐れずに言うと“数の概念を新たに構築するツール”です。

どういう事か。

そろばんの特徴は0~9までの数が5つの珠で表せることです。
珠を1桁につき5つの塊として記憶すればよいので、画像の様に捉えることを訓練次第で出来るようになります。
あとはその画像を動かせば楽に計算が出来るのです。
(筆算のような計算方法を画像処理するのは無理です。100玉そろばんに置き換えたとしても数が多すぎて、全く画像処理機能が追いつきません。)
この画像処理に指が連動すると、指の通りにそろばんの珠が動き、計算はそろばんを使っているがごとく(さらに早く楽に)計算出来る、と言うわけです。
そして、その機能の習得を求めるうちに右脳の開発や左脳の活性化、集中力強化などの副次的効果が生まれるのです。

そろばんの画像で数を認識する。これは新たな数の概念です^^;

そろばんは能力開発教室!!?

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ですから、そろばんは計算の能力を別次元で開発し、しかもその他のスペック“基礎能力”も大幅に上げることが出来、
その側面を切り取ると能力開発教室という事も出来るでしょう。
(本質は違いますが、計算ツールとしての座を電卓に譲った現在では、その側面の割合が大きくなってきています)
間違ってもK文や学習塾とは違うのです。(どちらが良い悪いという事では無くて)

K文の本質は学校教育の延長戦上で繰り返し繰り返しスモールステップで作られたプリントをひたすら行い、子どものレベルに合わせて詰め込み学習するもの。
そして学習塾の本質は対策をして、テストの点数を上げ、成績(内申点)を上げ、受験に合格を目指すものです。(補習塾などもありますが、本質は同じ)
それぞれ全くアプローチが違うことは気付いておいたほうが選択の際に後悔しなくて済むと思いますので、ぜひ覚えておいてください。

まとめ

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電卓があるのにそろばんを使うのは電卓が教育ツールとしての役目は果たさない、そしてそろばんが教育ツールとしてとても優れているからです。そして教育の補助に使うものはしっかりと効果や特徴を把握したうえで比較検討すると良いのでは無いでしょうか。

*1 使い方はこちらで(CASIO公式サイト)
*2 そろばんを習うと筆算が出来なくならないのですか?と質問される機会も多いですが、全然問題ありません。でも当然ながら筆算の考えは別に教えてあげないといけません
教えてないのに勝手に覚えるなんてことはありませんよ^^;

そろばんは、
お子様の可能性を広げます

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計算力・集中力・忍耐力・判断力、記憶力・想像力・発想力など、一生モノの力を身につけられます。そろばん脳(頭の中のそろばん)を作れます。

よろしければ、キャットリーの特長そろばんの効果についてもご覧ください。

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