そろばんのレベルや合格点~8級~

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そろばん塾ピコ講師の平山です。
数教室を回り、様々な考え・様々なタイプの子を見てきた経験から、一般論でない、役に立つ現場視点の情報を配信していきます。

前回の9・10級に続き、今回は8級です。
9・10級もそうですが、見取り算と九九さえマスターしていれば、特に難しい事はありません。この2つの級は連続で受ける子が大半です。(九九を覚えていない場合などは別ですが…)
しかし、検定に受かる事ばかりを気にしていてはいけません。次の級や近い将来を見越した訓練をして、しっかりと力を付けていかねばいけない時期でもあるからです。また、暗算を導入して、やり方を覚えて、習得していくのも、この時期です。
暗算の事にも触れつつ、8級を徹底解説していきます!

8級の問題数・合格点

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まずは日商検定(日珠連主催・日商後援ですが、使い分けが面倒なので、日商検定と言う事にしておきます)から見ていきましょう。

(日商検定)
見取り算 10問100点
かけ算 10問50点
わり算 10問50点
合計 200点
制限時間は3種目合計で20分、どこから始めてもOK。120点以上で8級合格。

続いてピコ検定の詳細です。日商検定より時間と問題が多いです。

(ピコ検定)
見取り算 10問100点
かけ算 20問100点
わり算 20問100点
合計 300点

制限時間は3種目合計で30分、どこから始めてもOK。180点以上で8級合格。
合格の割合も低いので見取り算さえ落とさなければ、簡単に合格できる内容ではあります。

が。それだけで終わらせてしまうのは勿体ないです。
8級の内容と、そして、今だから出来る先を見越した練習方法などを書いていきましょう。

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わり算が開始される8級

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9・10級では、かけ算が開始されますが、8級ではわり算が開始されます。
主に3桁÷1桁で、答えは2桁になります。(問題の決まりとしては、わる数と商を合わせて3桁)

○255÷5=51
×404÷4=101
後者の様な問題は、わる数と商を合わせて4桁になりますので、出てきません。
この様な問題は、見事にそろばんの弱点を突いていて、少し間違えやすい部分なので、そういう意味でも8級の難易度はかなり低いです。
※弱点の詳細は、ここでは割愛して、7級で説明します。

8級わり算のキーは立商の早さ

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わり算の商を立てる(立商と言いますが)のが苦手な子もいますので、9・10級の段階で九九の範囲のわり算(余りがあるわり算だと尚良いですね!)を少しずつやっていくと比較的スムーズです。
理想としては8級そして7級の段階でかなり早い立商を意識して訓練しておくと、6級がスムーズにいきます。

と言う事で、ただ単に点数を取るだけの8級のわり算では無く、6級を視野に入れたスピードを考えて訓練していきましょう。
検定までの期間が少し空いていて、高得点が続いている様であれば通常10分の時間制限を短縮してタイムアタックしてみるのも良いでしょう。
(わり算のみに時間を割き過ぎるのも良くなく、あくまでバランス良くが前提ですので、お気をつけください)

8級かけ算は桁が増えるだけ

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次はかけ算です。
9・10級で2桁×1桁だったのが、8級だと3桁×1桁になります。
一つ数字が増えただけで、やり方も変わらないので、ここは指導無しで取り組める子も多くいるくらいです。
(いえ、ちゃんと指導はしますよ。そんな事は言うまでもないですが…)

では、簡単に点数も取れて、検定も余裕に受かるから気を抜けばいいのか?
それは違いますよね。限られた時間でも最大限の効果を!と考える講師にとっては8級の間の時間も有意義に使いたいと考えます。
ですので、わり算と同じく、先を見越した訓練をしていきましょう。

8級だけど、その先を見越した具体的な練習方法

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具体的には
・九九を早く引き出す、間違えない
・スムーズな流れを作って、無駄な時間を削る

他にも色々とありますが、この様に意識していけば8級が簡単すぎると感じる子がいたとしても、意義を見出せます。簡単だから、と考えることを放棄してしまうのは、とても勿体ないです。

九九を早く引き出す、間違えないのは説明不要ですね。当たり前に分かることだと思います。

スムーズな流れを作る、と言うのは九九も勿論ですが、
数字を見て→式をそろばんに置く→九九~数字を入れる(計3回)→答えを書く→数字を見て→そろばんに置く→以下省略

計算時間以外にも短縮する部分は沢山あるのです。
例えば、この→の繋ぎ動作を短縮するだけでもかなりのものです。
上手い子ほど、ここの事実に気付き、ライバルに差をつけています。
そろばんは要素が少ない分、こういったベースの部分が大きく重要になってくるのです。
例えば盤面から指を離さない、とかですね。
ついつい、指を離して1個1個の九九を確認してしまうのですが、その必要はありますか?と言う話です。

細部に神は宿ると意識して沢山練習していきましょう^^

8級見取り算の解説

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先述のわり算、かけ算に関してはピコの問題=日商の問題ですが、(8級)見取り算のみ、ピコの方が少し難しくなります。
日商検定は2桁8口(数字を8回足し引きする、という事です。)
ピコの検定は2桁10口です。この2口は正直結構効きますね^^;
ここではピコの検定と言う前提で話をすすめます。

9級は5口だったので、単純に考えても(8級は)倍なのですが、そこは問題ではありません。時間不足という事もまだ起こらないでしょう。
今までより、繰り上がり・繰り下がりのバリエーションが増える=自分の苦手なところが出題されて、間違えてしまう可能性が高くなる、という事が問題です。

9・10級だと苦手な問題自体が出てこない(もしくは少ない)為、顕在化されなかったが、8級になって出てきたので、問題が浮き彫りになった、と言うような感じですかね^^;

こういった事が8級では起こりがちなので、入門編の間の徹底習得が如何に大事か、という事です。それでも8級に入ったらやればいい、と思いますか??
もうその時点では間違えるのが癖になっている可能性があるので、直すのはなかなか苦労するでしょうね。
と言う事で、入門~9級の間にどれだけの正解癖(?)をつけたか、如何に間違い癖(?)を身に付けないか、が問題です。

8級見取り算よくある間違え

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よくあるケースはこんなものです。

112-18=94

この中にあるあるな間違えが2つ隠されています。
①10少ない84としてしまう、もしくは10多い104になる。
②繰り下がりを勘違いして95としてしまう

①のケースは10を3回引いてしまう、ないしは2回目を引き忘れると言ったものです。こちらは気を付けて、何度か繰り返せばミスを防ぐことは可能です。そして、この様な問題を沢山やらせるのは簡単です。元より、こういう例題がたくさんありますので。

問題は②の方ですね。先ほども述べた通り、これは癖です。
繰り上がりの際は合わせて10になる、「8と2」と言うのがキーになりますが、これと5珠をからめた繰り下がりの「8引けない時は10とって5いれて3とる」と勘違いしてしまうのです。
脳がそういう風に指令しているので、それを覆す様に徹底的な原則の理解と、それに加えて問題数の確保が必要です。
原則の理解とは、あくまで10-8の時は10取って2いれる、という事です。
5珠が絡もうが、なんだろうがこの原則は不変です。
まあ、これを理解させるわけですが、ここだけの話、とても大変です^^;
(それだけ頭で・指で覚えている、という事なのですが…)

そして問題数をこなすという事については、ピンポイントにこの様な問題が出てくる可能性もあまり高くない(特に引き算については出題が少ない)ので、写真などで残しておいて、何度も繰り返す→間違えの癖を修正する、正解癖に直す必要があります。

なんだか、とても難しい話をしてしまいましたが、
そろばん塾講師の仕事は「新しい事を教える」のより「間違いの部分を推測して、そして試し、現場を見つけて、教え込み、更に修正する」ことの方が比重が大きいのです。量の問題では無くて、難しさの話ですね。
この間違いの部分を見つけて、キッチリと修正出来る講師は「指導のキレがあって、教務力が高い優秀な講師」と思っていただければ幸いです^^;

本当に、、、想像の遥か上を行くくらい難しいことです。

暗算7級~10級の指導開始

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もっと早くやっても良いんですけどね^^;
見取り暗算は(珠算の)見取り算さえマスターしていれば導入可能です。

7~10級の暗算は1桁を3~5口足していく、と言うものです。
問題自体はかなり簡単なのですが、その簡単さが必要です。

高学年になればなるほど、筆算式暗算⇔珠算式暗算の勝負が激しくなります。
つまり年齢が大きければ大きいほど、頭の中で算数的に計算出来てしまうので、急に難しい問題をやらせると慣れていない筆算式に揺り戻しがある、と言う話です。
また、低学年ほど、左脳が発達していないので、逆に右脳を使ったイメージの計算が得意なんですよね。(小さい子と単純な記憶力で勝負しても絶対に勝てません。鮮明な写真を撮る様に頭に記憶出来るからです。)

という事で、簡単なところから当たり前の様に徐々に刷り込んでいく事が暗算習得の近道です。数字に強い子というのは、普段の生活から数字を扱う量が桁外れに多いのですが、その大半を珠算式に置き換えてしまえば、楽に習得出来る=簡単なところからでも珠算式に馴染む、と言うことが何よりも大事ですね。

まとめ

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8級は点数が取りやすくて簡単に合格できるから、と気を抜かずに、先を見据えた練習をしていく事が、今後スムーズに進める上で何より大事です。
慢心はいけません。そして学ぶこと・成長を実感できることは楽しいです。
上へ上へと向上心をもって取り組んでいきましょう^^

そろばんは、
お子様の可能性を広げます

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計算力・集中力・忍耐力・判断力、記憶力・想像力・発想力など、一生モノの力を身につけられます。そろばん脳(頭の中のそろばん)を作れます。

よろしければ、キャットリーの特長そろばんの効果についてもご覧ください。

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